2009年09月11日

偉大なる失敗作、スペースシャトルの最後

スペースシャトルの退役が来年に迫り、一方で代替機オリオンの開発は進んでおらず、NASAの有人宇宙船に数年の空白ができる事が決定的になった。美しく巨大な機体と先端的な再利用機構で知られ、宇宙開発の代表でもあるスペースシャトルだが、計画全体を見れば完全な失敗と言っていい。
そもそも最初の計画から大きな問題を抱えていた。有人と貨物を兼用した再利用機というあまりに先端的な計画そのものに無理があったのだ。実際に有人宇宙船で貨物を兼用している物は他にない。にもかかわらず輸送費費用が大幅に下がるという無茶な予想を出し、結果的に普通のロケットよりも輸送費用は遥かに高くなった。当初の計画では2段式のシャトルですべてを再利用するはずだったが、製造コストがあまりに高すぎるために外部燃料タンクは使い捨てになり、輸送費用を大きく押し上げる要因になった。
そして何よりも大きな問題なのは2度の死亡事故だ。犠牲者は実に14人にも及び、他の有人宇宙船による死者を遥かに凌駕している。ソユーズでの犠牲者は4人であり、最後の死亡事故は1971年の事だ。有人宇宙船としての信頼度は極めて低いと言わざるを得ない。
もしスペースシャトルがなかったら宇宙開発はどうなっていただろうか?おそらくその開発と維持にかかるコストを他に振り分ける事により、宇宙ステーションや衛星探査などは今より遥かに進んでいただろう。スペースシャトルでなければできなかった事というのはおそらくほとんどない。その一方で巨大な再利用機という偉大な宇宙船が存在する事は永遠になかっただろう。
宇宙開発は今も昔も人間の能力の限界が要求され、限界を超えた夢のような話はすぐに破滅へと追いやられる。スペースシャトルはその典型と言っていい。国際宇宙ステーションまでの高さ400kmは、人間にとっては途方もなく遠い距離なのだ。スペースシャトルの失敗はその厳しさを人間に教えてくれる。
posted by 探求者atom at 21:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 科学技術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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